備中吹屋 ベンガラ色の赤い街並み

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備中高梁駅からバスで1時間、高梁市成羽町吹屋地区にやってきました。

吹屋は江戸時代から銅山(吉岡鉱山)とベンガラで繫栄しました。金属を製錬・鋳造する=「吹く」職人・工場が多かったことから吹屋の地名になったようです。ベンガラは弁柄や紅殻とも書き、硫化鉄を酸化させた酸化第二鉄を主要成分とする赤褐色の顔料・研磨剤です。吹屋はベンガラの一大産地だったことからジャパンレッド発祥の地と呼ばれています。

吹屋は弁柄色の壁・格子と石州瓦の屋根を持つ赤褐色の古い町並みが残っており、重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。

また岡山県が1974年(昭和49年)にふるさと村整備事業として、県内の優れた農村景観を保存復元し、次代に継承することを目的として選定した7地区のふるさと村の一つでもあります。先に行った武家屋敷のある石火矢町もふるさと村となっていました。

バスの運転手の計らいで集落の手前で降ろして貰いまして、さっそく散策します。滞在時間が1時間しかないので、ゆっくりしていられません。

多くの町家にはこうした説明書きの札が下がっており、理解を深める上で非常に助かります。

先ず行きたい所があるので、メインストリートから離れて脇道を登って行きます。

こちらの旧高梁市吹屋小学校、1873年創立で1899年現在地に移転、画像の本館は1909年(明治42年)に建設されています。2012年3月31日をもって閉校となりましたが、日本最古の現役小学校校舎として知られていました。こんな立派な校舎を建設するくらいですから、当時の吹屋はかなり栄えていて児童数も多かったのでしょう。

建築技師・宮大工の江川三郎八もしくはその影響を強く受けた者の設計と推測されています。江川式建築と呼ばれる和洋折衷の擬洋風建築は、出身地の福島県と勤務先の岡山県で多く残されています。

左右の西校舎・東校舎は1900年(明治33年)の竣工。体育館だった西校舎のペディメント(破風)には「吹公」の文字が見えます。

現在保存修理工事が行われているのは事前情報で知っていたのですが、遠目ですが外観だけでも見られたので良かった。工事は2022年3月に完了予定です。

旧吹屋小学校のすぐ先に見えてくるのが、ラフォーレ吹屋。こちらは旧吹屋中学校跡地に旧吹屋小学校校舎を模して建設されたホテルです。

またメインストリートに戻って・・・

ひときわ赤い建物は吹屋郵便局。周りの景観を壊さないよう、街並みに溶け込むデザインで平成5年に建て替えられた新しい建物です。

2階の七宝柄のなまこ壁が美しい中山家(中野屋)、1700年代末頃、つまり200年超の建物。中山家はベンガラ窯元でしたが、明治・大正期には醤油屋を営んでいました。

そういえば、吹屋の観光関連のウェブサイトでよく目にするメインストリートの上から撮った画像の撮影場所はどこだろう?同じような構図で撮影したいなあ。岡山県観光連盟に著作権がある画像です(申請すれば無料でダウンロード可能)。ドローンでもなさそうだし・・・

同じバスに乗っていたおじさんも本格的なカメラを持ちながら高台に上がったり探しているようでした。

後ほどアイスとジュースを買った酒屋のおばさんに聞いてみると、少し下った公民館の屋根から撮ったものだと。

ここかな、公衆電話のあるところだって言っていたし。

表の通りから見てもよく分からないので、裏に回って少し高い所に上がってみました。

消防用のホースのポールがどうのこうのって言っていたので、ここだと思います。

ベンガラ製造(窯元)では片山家(胡屋)、長尾家(長尾屋)、仲口家(叶屋)、長尾家(東長尾屋)、田村家(福岡屋)の五家とその中間原料である緑礬(ローハ)の製造で西江家、谷本家、広兼家の三家が富を築きました。

ベンガラ窯元五家のうち、現在ベンガラ館となっている田村家を除いた四家は集まって位置しています。

長尾家(本長尾)、現在はかえでというカフェになっています。さっき行った酒屋がその隣の長尾醤油酒店なので、同じ一族なのでしょうか。更にもう1軒隣が東長尾でした。

後で知りましたが、長尾家の前にあったのが仲口家(叶屋)。他の町家より高いなまこ壁の建物を併設していたので撮影していました。

その隣が国の重要文化財にもなっている旧片山家住宅。江戸時代後期、1830年頃の建設とされています。斜め前の吹屋ふるさと村郷土館と共通入場料500円で見学出来るのですが、帰りのバスの時間が迫っていて断念しました。

その向かいにあるのが中片山と呼ばれる片山家の分家。

中片山の隣が同じく分家の角片山。現在は吹屋ふるさと村郷土館になっており、バス停がこの前にあります。

わずか1時間の滞在なので充分だったとは言い難いですが、備中高梁駅から往復2時間かけて来た価値はありました。今度はもう少し時間を取って、周辺の銅山跡なども回ってみたいです。

吹屋地区の地図とホテル

新見・高梁 洗濯機・コインランドリーがあるホテル・旅館

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